タイルのモザイク [制作現場写真]
銀座のレストランでモザイクの花器が出来ないかと注文を受けデザイン・制作した花器。
出土品のようなテイストでという社長の要望に、まずタイルを焼くことから始めた。 知人の陶芸家にたのんで5㎜ほどの陶板を100枚ほど焼き、必要な色味の釉薬をムラムラにかけて焼き上げた。
それを砕いてモザイクにする。
中子は時間と予算の関係でFRPで作った。この店の仕事で体をこわしてしまい長いスランプに陥ってしまった。もう無理はしません。
鍛造の続きです [制作現場写真]
火付けは新聞紙と炭を使います。炉の吹き出し口の上に砕いた炭を新聞紙でくるんでのせ、火をつけてすぐにコークスで埋めてから送風します。
はい、炭に火がまわってきましたね、煙が出なくなるまで、送風は弱くしておきます。
コークスの火がおきるまで、材料は並べて予熱しておきます。今日は15ミリの角棒をたたきます。
はい、コークスの火がおきましたね、ここで材料を火に突っ込みます。
こんなぐあいですね。
たたくのは機械も使います。これはフリクションプレスというプレス機です。
作業にあわせて型を付け替えて使用します。今日は上下同じ平らなハンマーを使います。
左手で赤まった材料を下のハンマーの上にのせ、右手でレバーを押し下げると、その動きにあわせてハンマーが上下します。フリクションは非常にデリケートに右手の動きに反応してくれるので、微妙なニュアンスで鍛造することができます。
はい角棒がこんな形のパーツになりました。
表札の馬を創る その1 [制作現場写真]
ある個人住宅の表札代わりに、馬のオーナメントを制作します。この制作過程を順次公開してみようと思います。
その1 デザイン
まずモチーフの馬を鉛筆でデッサン。玄関左側の壁面に取り付けるため左向きの構図にします。
次にこのデッサンをデジカメで取り込みフォトショップで加工します。大まかなフレームワークをやはり鉛筆で書き込みデジカメ撮影後フォトショップに読み込んで加工修正します。この時点で、金属に置き換え実際制作する手順をふまえた細かなイメージを構築しながらディテールを書き込みます。
表札の馬を創る その2 [制作現場写真]
馬の表札を創る その3 [制作現場写真]
フレームが出来上がったので、いよいよ馬をこしらえます。まず鉄板の材料取りのために、原寸デザインと出来上がったフレームから型紙をとります。
立体になることをふまえて大きめにとります。この型紙を材料の鉄板にのせてトレースし、切断します。
鼻筋は白くしたいので、この型紙分だけ3㎜のステンレスを使います。他の部分は鉄板ですが、複雑な鍛造を要する顔面には2㎜の酸洗鋼、首や胸の単調な部分には1.6㎜の酸洗鋼を使います。
酸洗鋼というのは通称ミガキと呼ばれる酸化被膜を除去した鋼材です。このミガキと呼ばれる鋼材は製造過程で再生鉄(くず鉄)を含まないため、デリケートな鍛造に向いています。いわゆる黒皮をかぶった鋼材は、様々な材質のスクラップが原料にふくまれるためかたさにばらつきがあります。火造りの鍛造ではそれほど気になりませんが、常温での加工ではかなり極端な硬度差にてこずることがあります。
さて、顔からたたき始めましたが、写真を撮り忘れてここまできてしまいました。大まかな打ち出しは堅木の切り株を使います。
堅木というのは読んで字のごとく堅い木のことです。杉・桧・松などの針葉樹はやわらかいため鉄板などの鍛造型には向きません。使ってみればわかりますが、種類は何でもかまいません。クリ・サクラ・クヌギ・ナラ・カシ・ケヤキなど堅い木なら何でも使えます。この切り株はもう20年以上使ってますが、根元に近い部分を逆さまにしてあります。見てのとおり、切り口はかなり入り組んだカタチをしています。この入り込み具合が様々な形を打ち出すのに大変重宝します。末広がりの根元部分を使うのがミソです。このせり出しが湾曲させたい部分に実に感動的に役立つのです。このような道具はどこでも売っていません。自分で見つけるものです。ものつくりにとって本当に必要なものとのめぐり逢いは、人との出逢いにもまして重要な要素であるといえます。
下唇をあぶりながら巻いていきます。型にあてることなくたたけるときは型を使わずに叩きます。
まだまだ馬には見えませんが、顔と下唇のおおまかなたたきが上がりました。
つづく