川下り 流れ流され 華むすぶ [ギ ャ ラ リ ー]
工房のある相模湖は戦後間もなくできた人造湖で、毎年台風シーズンともなると相模川流域からの流木でダムはいっぱいになる。工房の暖房は薪でまかなっているのでよく流木をもらいに行くのだが、結構おもしろい木も流れてくる。この作品はそんな流木を利用してこしらえたもののひとつで、絵画教室のカバンかけである。。一口に流木といっても実に様々なモノが流れてくる。自然に倒れた丸ごとの立木から、建築の廃材などぴんからきりまであるが、何らかの理由で折れたり割れたりした自然木が長い時間をかけて風化しながら流されてきたものは特にアジがある。この板もそんな一枚で、広葉樹の堅木が自然に割れて風化した逸品である。こんな木に出会うと本当に興奮するもので、ほとんど手の入れようのないほどのハダに仕上がっている。あとはみがいて化粧をしてやるだけでホントに見違えるような味わいが出る。化粧も緑茶を煮出したものにハガネをつけておいて化合させたおはぐろを用いる。これがまたいいアジを出す。このおはぐろは鉄の仕上げにも使うが実に深いあじわいが得られる。